http://www.yamadarn.com/ コラム「学校でのICT活用について考える」

学校でのICT活用や,GIGAスクール構想についての覚書(おぼえがき)です。 勤務校で書いた自己研修通信から再構成しました。 内容の一部は,インスタグラムにも投稿しています。

ICTでおおざっぱにイメージしてみた昭和・平成・令和の授業

原版(紙版):2021年11月26日(金)発行

Web版:2022年08月09日(火)作成

インスタ版:2022年08月04日(木)投稿

昭和・平成・令和の授業イメージ

我ながらツッコミどころ満載ですが,昭和・平成・令和の授業の違いをイメージしてみました。 わかりやすさ優先で,おおざっぱな(おおげさな?)表現になっています。 実際には各時代に「過渡期」があるので,年号だけでは厳密に分けられないと思います。

「令和(これから)の授業」は,「児童がICTを日常的に使う授業」を目指す必要があります。 教師だけではなく,児童もICT機器を使うのでです。 特別な学習活動だけではなく,日常的な学習活動で使うのです。

平成(まえのじだい)の授業,令和(これから)の授業

「平成(まえのじだい)の授業」を,もう少し細かくイメージすると下図になります。 ほぼ教師だけがICT機器を使っていたイメージです。 児童がICT機器を使うのは,何か特別な時にパソコン室へ移動して行うイメージです。

「令和(これから)の授業」も,もう少し細かくイメージすると下図になります。 児童がICT機器(1人1台端末)を,毎日・毎時間・各教科で使うイメージです。 当面は(?)紙や鉛筆や黒板やチョークも併用しますが,徐々にデジタル化していくイメージです。

紙の資料に満足できず,自己解決を図った児童

先日参観した授業が,「平成(まえのじだい)の授業」でした。 学習内容は面白かったのですが,教師だけがICT機器を使っていました。 意欲的な児童が多かったのですが,児童は紙と鉛筆だけで授業を受けていました。

  1. 教師は,パワーポイントのスライドを見せながら話をする。
  2. 児童は,スライドや配布資料を見ながら,必要なことを鉛筆で書き留めていく。
  3. 授業の途中で教師が,追加資料を紙で児童に配布する。
  4. 指名された児童が,口頭で意見を発表する。
  5. 授業のふり返りは,紙のアンケートで行う。
  6. ふり返りアンケートの結果は,後日(次時)の授業で発表される。

ところが追加資料が配布された途端に,おもしろいことが起きました。 1人の児童が,猛烈な勢いでタブレット操作を始めたのです。 他の児童が紙の追加資料に目を通している中,1人だけ違うことを始めたのです。

その子はやがて「先生! もっと良い資料を見つけました! とても見やすいです!」と声を上げました。 さらに「みんなも見られるように,Teamsに載せました!」と続けました。 その子が満面の笑顔を浮かべていたこともあって,授業者は「ありがとう」と声掛けをしました。

授業者が配布した追加資料
印刷機で白黒(モノクロ)印刷した紙
写真が描かれているが,不鮮明で見づらい
その子が見つけた資料
公式サイトのカラー画像
紙と同様の写真だが,鮮明で見やすい

「令和(これから)の授業」とは,このような子が活躍する授業だと思いました。 この子は「タブレットを文具のように使いこなし,学びに役立てていた」からです。 この子は「自分が手に入れた情報を学級全体に共有し,みんなで学ぼうとしていた」からです。

  1. 教師の指示が無くても,自らの判断でタブレットを使い始める
  2. 授業中に自ら課題を見つけ,既習のICTスキルを駆使して解決を図る
  3. 自らの学習成果を学級内で共有し,協働的な学びを行おうとする

このような筆者の意見を,参観後に授業者へ伝えました。 すると授業者も「なるほど」と納得していました。 その後2人で授業の改善案も考えてみました。

  1. 教師は基本的に,意欲付け・動機付けに徹する。
  2. そのために教師がスライドを活用することがあっても良い。
  3. もしも追加資料があれば,データで児童に配布する。
  4. 資料の不足や不備を感じた児童は,自分たちの判断ですぐ調べる。
  5. 調べて見つけた追加資料は,学級全体ですぐ共有する。
  6. Teamsへの投稿と口頭での発表を組み合わせで,活発に意見交流する。
  7. ふり返りはデジタルのアンケートで行う。
  8. アンケート結果は,その場で共有する。