「アナログの効果的な活用」を考えましょう
GIGAスクール構想(クラウドを活用した学校改革)について、もう1歩踏み込んで考えてみました。
原版(紙版):2024年09月08日(日)発行
Web版:2024年12月31日(日)作成
デジタルの効果的な活用ではなく、アナログの効果的な活用を考える
GIGAスクール構想を進めていくためには、「アナログの効果的な活用」を考えることが大切です。 よくある間違いだと思うのですが、「デジタルの効果的な活用」ばかり考えていても、なかなかGIGAスクール構想は進みません。 授業・行事・生活指導などに追われる毎日の中で、「部分的にデジタルを活用すること」は極めて困難です。
まず「全部(フル)デジタル」を考える
「アナログの効果的な活用」を考えるためには、まず「全部デジタル」の授業を考えます。 荒療治になりますが、アナログでもデジタルでも、どちらでもできることは「全部デジタル」でやるのです。 例えば、鉛筆もノートもワークシートも黒板もチョークも一切使わないで、タブレットやクラウドだけを使った授業を考えてみるわけです。
次に「アナログの方が効果的なこと」を考える
「全部デジタル」を考えた上で、「アナログの方がデジタルよりも効果的なこと」や「アナログでしかできないこと」をアナログに戻します。 あくまでもデジタルが「主役」で、それを補う「サポート役」としてのアナログです。 「アナログ前提の授業」の中に「部分的にデジタルを取り入れる」のではなく、「デジタル前提の授業」の中に「部分的にアナログ」を取り入れるのです。

「アナログの方が効果的なこと」は、児童の実態に応じて考える
アナログと、デジタルの、どちらが効果的なのかは、児童の実態によって変わってきます。 低学年と高学年のちがいや、年度当初と年度末のちがいや、児童1人1人の特性や発達段階によるちがいがあるからです。 日々の授業づくりで悩むポイントであり、研究授業の事前研や事後研で検討するポイントでもあります。
例えば、算数で「量感を養う学習」をする場合。 タイルや、ブロックや、おり紙など、アナログの方が効果的なケースがあると思います。 反対にスライドや動画など、デジタルの方が効果的なケースもあると思います。
デジタルは「かけ算」です
クラウド等のデジタル技術は、よいことも、悪いことも、どちらも「かけ算」します。 学習の努力を「かけ算」して、作文やレポートなど学習成果物の「質」を高めたり、学力を伸ばしたりできます。 悪口や陰口を「かけ算」して、より陰湿な「いじめ」を引き起こしたり、学級の「和」を乱したりもしてしまいます。

このような「かけ算」を意識すると、GIGA時代は「努力の推奨」と「いじめ撲滅」の学級経営が、今まで以上に必要だと言えるでしょう。
作文をデジタルで「かけ算」すると
例えば、作文をデジタルで「かけ算」したら、どうなるでしょうか? この場合、アナログ(紙と鉛筆)では400字が精いっぱいだった子が、デジタル(ワープロとタイピング)では10倍の4000字が書けるようになることが1つの理想です。 もちろん単純に「量(文字数)」だけが増えるのではなく、より詳しく自分の考えが表現されるなど、「質」も高まっています。