http://www.yamadarn.com/ コラム「学校でのICT活用について考える」

学校でのICT活用や、GIGAスクール構想についての覚書(おぼえがき)です。 勤務校で書いた自己研修通信から再構成しました。 内容の一部は、インスタグラムにも投稿しています。

「アナログの効果的な活用」を考えましょう

GIGAスクール構想(クラウドを活用した学校改革)について、もう1歩踏み込んで考えてみました。

原版(紙版):2024年09月08日(日)発行

Web版:2024年12月31日(日)作成

インスタ版:2025年01月07日(火)投稿

デジタルの効果的な活用ではなく、アナログの効果的な活用を考える

GIGAスクール構想を進めていくためには、「アナログの効果的な活用」を考えることが大切です。 よくある間違いだと思うのですが、「デジタルの効果的な活用」ばかり考えていても、なかなかGIGAスクール構想は進みません。 授業・行事・生活指導などに追われる毎日の中で、「部分的にデジタルを活用すること」は極めて困難です。

まず「全部(フル)デジタル」を考える

「アナログの効果的な活用」を考えるためには、まず「全部デジタル」の授業を考えます。 荒療治になりますが、アナログでもデジタルでも、どちらでもできることは「全部デジタル」でやるのです。 例えば、鉛筆もノートもワークシートも黒板もチョークも一切使わないで、タブレットやクラウドだけを使った授業を考えてみるわけです。

次に「アナログの方が効果的なこと」を考える

「全部デジタル」を考えた上で、「アナログの方がデジタルよりも効果的なこと」や「アナログでしかできないこと」をアナログに戻します。 あくまでもデジタルが「主役」で、それを補う「サポート役」としてのアナログです。 「アナログ前提の授業」の中に「部分的にデジタルを取り入れる」のではなく、「デジタル前提の授業」の中に「部分的にアナログ」を取り入れるのです。

「デジタル前提の授業」の中に「部分的にアナログ」を取り入れるましょう!

「アナログの方が効果的なこと」は、児童の実態に応じて考える

アナログと、デジタルの、どちらが効果的なのかは、児童の実態によって変わってきます。 低学年と高学年のちがいや、年度当初と年度末のちがいや、児童1人1人の特性や発達段階によるちがいがあるからです。 日々の授業づくりで悩むポイントであり、研究授業の事前研や事後研で検討するポイントでもあります。

例えば、算数で「量感を養う学習」をする場合。 タイルや、ブロックや、おり紙など、アナログの方が効果的なケースがあると思います。 反対にスライドや動画など、デジタルの方が効果的なケースもあると思います。

デジタルは「かけ算」です

クラウド等のデジタル技術は、よいことも、悪いことも、どちらも「かけ算」します。 学習の努力を「かけ算」して、作文やレポートなど学習成果物の「質」を高めたり、学力を伸ばしたりできます。 悪口や陰口を「かけ算」して、より陰湿な「いじめ」を引き起こしたり、学級の「和」を乱したりもしてしまいます。

クラウド等のデジタル技術は、努力も「かけ算」しますが、悪口・陰口も「かけ算」します。

このような「かけ算」を意識すると、GIGA時代は「努力の推奨」と「いじめ撲滅」の学級経営が、今まで以上に必要だと言えるでしょう。

作文をデジタルで「かけ算」すると

例えば、作文をデジタルで「かけ算」したら、どうなるでしょうか? この場合、アナログ(紙と鉛筆)では400字が精いっぱいだった子が、デジタル(ワープロとタイピング)では10倍の4000字が書けるようになることが1つの理想です。 もちろん単純に「量(文字数)」だけが増えるのではなく、より詳しく自分の考えが表現されるなど、「質」も高まっています。