http://www.yamadarn.com/ コラム「学校でのICT活用について考える」

学校でのICT活用や、GIGAスクール構想についての覚書(おぼえがき)です。 勤務校で書いた自己研修通信から再構成しました。 内容の一部は、インスタグラムにも投稿しています。

プログラミング教育について雑感

原版(紙版):2024年10月20日(日)発行

Web版:2025年01月02日(木)作成

小学校のプログラミング教育は、令和2年度に必修化しています

コロナ禍で「うやむや」になった感はありますが、小学校のプログラミング教育は令和2年(2020年)4月から必修化しています。 全国どこの小学校でも、必ず教えなければならないことになっています。 また文科省は「体験を通して学ぶこと」を求めていますから、必要な教具を用意して授業を行う必要があります。

プログラミング教育の「ねらい」は、やり方を考える力を育てること

小学校プログラミング教育の「ねらい」は、試行錯誤する学習活動を通して「プログラミング的思考」を身に付けさせることです。 よくある間違いですが「職業的なプログラマーを育てること」は目指していません。 「プログラミングの知識・技能の習得」を目指した学習が無いわけでもありませんが、あまり重視されていません。

「プログラミング的思考」とは、問題を解決するために「やり方を考える力」です。 例えば「ロボットカーを走らせるプログラミング体験活動」ならば、「どうすれば床の線をなぞって走らせることができるだろうか?」を考えることになります。 あるいは「どうすれば衝突を回避させられるのだろうか?」を考えることもあるでしょう。 そのような考える活動を通して、「プログラミング的思考(やり方を考える力)」を育てていくことになります。

プログラミング活動が、ときどき教科書に出てきます

必修化こそされていますが、「プログラミング」や「情報」などの教科が小学校に増えたわけではありません。 算数や理科の教科書に、ときどきプログラミング活動が出てくる程度です。 例えば4年算数「およその数」では、「四捨五入のプログラミング」が出てきます。

プログラミング教材は3種類ある

以前に紹介したことがありますが、プログラミング教材は3種類あります。 「アンプラグド・プログラミング」「ビジュアル・プログラミング」「フィジカル・プログラミン」の3種類です。 「学習効果が低いが、安価」「学習効果が高いが、高価」「その中間」など、それぞれ一長一短があります。

電気を使わない、アンプラグド・プログラミング

「アンプラグド(電源プラグが無い/電力を必要としない)・プログラミング」は、紙と鉛筆で行う教材です。 安価で導入しやすいのですが、「コンピュータを使わない」という致命的な欠点があります。 文科省は「コンピュータを使ったプログラミング」を求めていますから、単元導入などで補助的に使うしかありません。

画面だけで学ぶ、ビジュアル・プログラミング

「ビジュアル(視覚的)・プログラミング」は、絵記号などを画面上に並べて行う教材です。 1人1台端末の時代になって、授業で使いやすくなりました。 代表的な教材としては、Eテレでも教材として扱われている「Scratch」が挙げられます。

ちなみに全国には「Scratch」のことを「ゲームばかりする子が多くて、学習効果がない」とか「遊びの要素が強すぎて、学校教育にそぐわない」などと批判的な教師も多いのですが、大きな誤解です。 「Scratch」は思考力や創造性を鍛える優れた教材ですが、「やらせっぱなし」では学習効果が高まりません。 「教えるべきことは教える」「必要に応じて、指導や助言を加える」など、教師の働きかけが大切です。

ロボットやドローンを動かす、フィジカル・プログラミング

「フィジカル(物理的)・プログラミング」は、ロボットやドローンのような「実体のある機械」を動かす教材です。 プログラミング体験としては、3種類の中で最も優れています。 ですが円安の影響で機材が5割増しぐらいに値上がりしており、導入のハードルが高くなってきています。

導入のハードルを下げる手段としては、外部講師や貸出機材の活用が考えられます。 例えば中標津町であれば、岩谷学園と連携を図ることが考えられます。 また中標津町の教育委員会には貸出機材があるので、それを活用することも考えられます。