GIGAタブレットは令和時代の「文房具」
原版(紙版):2024年11月24日(日)発行
Web版:2024年12月29日(日)作成
ICTを文房具のように使える児童
これからの学びでは「ICTを文房具のように使える児童」を目指していく必要があります。 鉛筆やノートのような「必要不可欠な道具」として、ICTを使える子を育てていくのです。 少なくとも文科省の『教育の情報化に関する手引(令和元年12月/追補版:令和2年6月)』には、そのような趣旨のことが書かれています。
ここで言うICT(情報通信技術)は、Teams(チームズ)やロイロノートやMEXCBT(メクビット)などのクラウドと、クラウドに繋がる「窓口」としてのGIGAタブットを意味します。 よくある誤解ですが、共有サーバーや、インストール型のアプリは、あまり関係ありません。
入学当初の文房具
「ICTは文房具」を目指すため、入学当初の鉛筆を考えてみます
小学校入学当初、児童は「鉛筆の使い方」を学びます。 持ち方、家で削っておく習慣、ひらがな・カタカナの書き方などを、1年生の担任から丁寧に指導されます。 入学当初は「名前を漢字で書ける」「ひらがな数個しか書けない」などの個人差、または家庭差が激しいのが普通です。
入学当初の鉛筆を、GIGAタブレットに置き換えてみます
小学校入学当初、児童は「タブレットの使い方」を学びます。 充電保管庫からの出し入れ、壊しづらい持ち運び方、パスワードの扱い、起動と終了の操作、Teamsやロイロノートの使い方などを、1年生の担任から丁寧に指導されます。 入学当初は「親のiPhoneでタッチ操作に慣れている」「ゲーム機にも触れたことがない」などの個人差、または家庭差が激しいのが普通です。
低学年の文房具
「ICTは文房具」を目指すため、低学年での鉛筆を考えてみます
低学年のうちは、教師の作業指示に従って鉛筆を使うことが多いでしょう。 「鉛筆を出しなさい」「ノートに日付を書いて」「黒板を写します」などの作業指示です。 教師の指示なく、児童の判断だけで鉛筆を使うことは、あまり無いと思います。 もしも児童の判断だけで鉛筆を使う子がいたとしても、「今は先生の話を聞く時間です。鉛筆を置きなさい」と指導されてしまう否定的な場合が多いと思います。
低学年での鉛筆を、GIGAタブレットに置き換えてみます
低学年のうちは、教師の作業指示に従ってタブレットを使うことが多いでしょう。 「タブレットを出しなさい」「ロイロノートを開いて」「自分の考えを書きます」などの作業指示です。 教師の指示なく、児童の判断でタブレットを使うことは、あまり無いでしょう。 児童の判断だけでタブレットを使う子がいたとしても、「今は先生の話を聞く時間です。タブレットを『パタン』しなさい」と指導されてしまうネガティブな場合が多いと思います。
中高学年の文房具
「ICTは文房具」を目指すため、中高学年での鉛筆を考えてみます
学年が上がってくると、児童の判断で鉛筆を使うことが増えるでしょう。 こと細かく教師が作業指示を出さなくても、「いつ・何を・どこに書くのか?」を児童が判断できるようになります。 教師の指示が必要な場合でも、低学年のような作業指示ではありません。 「まとめを書きなさい」「ふりかえりをしなさい」など、間接的に鉛筆を使わせるような指示になります。
中高学年での鉛筆を、GIGAタブレットに置き換えてみます
学年が上がってくると、児童の判断でタブレットを使うことが増えます。 こと細かく教師が指示を出さなくても、「いつ・何を・どのアプリで行うのか?」を児童が判断できるようになります。 教師の指示が必要な場合でも、「まとめを書きなさい」「ふりかえりをしなさい」のような指示になります。 また学習内容に応じて、鉛筆とタブレットのどちらを使えばよいのかを自己判断できるようにもなってきます。
安心して使える文房具
鉛筆は、誰もが安心して使える道具です
発明されてから150年以上の歴史を持つ鉛筆は、トラブルが少ない道具です。 起こりうるトラブルは「芯が折れる」とか「家で削り忘れて書けない」ぐらいでしょう。 「突然固まる(フリーズする)」「指先が乾燥していると反応が悪い」みたいなトラブルは鉛筆に起こりません。 トラブルが少ないからこそ誰もが安心して使えるのです。
タブレットは、まだ誰もが安心して使える道具になっていません
発明されてから80年程度の歴史しかないコンピュータは、鉛筆に比べてトラブルが多い道具です。 すごい勢いで進化していることも事実ですが、まだ誰もが安心して使える道具には進化しきっていません。
ですからGIGAタブレットを「文房具」にするためには様々な手立てが必要です。 教師や児童の、知恵や工夫で何とかなることもあります。 自治体が動かなければどうにもならないこともあります。この辺について、今後書いていこうと考えています。