http://www.yamadarn.com/ コラム「学校でのICT活用について考える」

学校でのICT活用や、GIGAスクール構想についての覚書(おぼえがき)です。 勤務校で書いた自己研修通信から再構成しました。 内容の一部は、インスタグラムにも投稿しています。

アカウントは「銀行口座」、IDは「口座名義

原版(紙版):2023年12月12日(火)発行

Web版:2025年01月04日(土)作成

クラウドは「情報の銀行」

「クラウド」は「情報の銀行」であるとイメージしましょう。 よく聞く「クラウド」というICT用語は、「銀行」に置き換えると分かりやすくなります。 「銀行」が「利用者のお金を預かるところ」であるように、「クラウド」は「利用者の情報を預かるところ」なのです。

アカウントは「銀行口座」である

「アカウント」とは何でしょうか? 「クラウド」と同じぐらいよく聞くICT用語ですが、正しい意味を知っている人は少数派でしょう。 よく意味がわからないまま、必要にせまられて「アカウントを作成」している人が多数派だと思います。

「アカウント」は「銀行口座」である、とイメージしてみてください。 「クラウド」が「情報の銀行」ならば、「アカウント」は「情報の銀行口座」です。 「アカウントを作成する」とは、「使いたい銀行(クラウド)で、自分名義の口座を開く(新しく作る)」の意味です。

そもそも英語の「アカウント(account)」は、「勘定」「会計」「取引」「計算書」「口座」などの意味です。 語源をたどると「数える(count)」という言葉と関係があります。 そこから転じて「デジタルのサービスを利用する権利」みたいな意味のICT用語になりました。

IDは「口座名義」または「口座番号」である

「クラウド」を使う時は「ID」を入力する必要があります。 「ユーザー名」や「アカウント名」と呼んでいる「クラウド」もありますが、意味は「ID」と同じです。 いずれにせよ「ID」は、「パスワード」とセットで使われることが多いです。

「クラウド」が「情報の銀行」ならば「ID」は「口座名義」です。 英語で「ID」は「身分証明書(Identity Document)」や「身分証明(identification)」などの略語です。 そこから転じて「ネットサービスを同一人物が使っている証拠」みたいな意味のICT用語になりました。

Googleアカウントの例: yamadarn@gmail.com

Microsoftアカウントの例: yamada.masakazu@nakashibetsu.ed.jp

上記のように「メールアドレス」=「ID」になっている「クラウド」が多いです。 ですが「ID」が「数ケタの数字だけ」という「クラウド」もあります。 その場合は「口座名義」ではなく、「口座番号」と置き換えた方がよいでしょう。

パスワードは「印鑑」や「暗証番号」などの代わりである

ご存じの通り、「パスワード(password)」は、英語で「合言葉」の意味です。 「pass」が「通過する」「通っていく」「通じる」「流通する」などの意味で、「word」が「言葉」「単語」などの意味です。 ICT用語でも、そのまま「合言葉」です。

「クラウド」が「情報の銀行」ならば、「パスワード(合言葉)」は「印鑑」や「暗証番号」など「本人確認のための証拠」です。 「ID(口座番号)」と「パスワード(印鑑または暗証番号)」が一致しなければ、「アカウント(口座)」は利用できません。 もしも「パスワードを忘れた(印鑑を失くすなどした)」ならば、再発行の手続きが終わるまで、その「アカウント」は利用できなくなってしまいます。

パスワードを盗まれると、一大事(いちだいじ)

言うまでもなく、「パスワード」を盗まれたら大変です。 「印鑑」や「キャッシュカード」を盗まれた以上の、一大事(いちだいじ)になります。 「銀行」なら「預けてあるお金」を盗まれてしまいますが、「クラウド」では「預けてある情報」を盗まれるだけでは済みません。 「なりすまし」や「のっとり」などの犯罪にも使われてしまいます。

多くの学校で、1人1台端末(タブレット)に「パスワードを書いた紙」を貼り付けていることがありますが、情報モラル教育上よくありません。 「キャッシュカードに暗証番号をマジックで記入しておくぐらい危険」だからです。 低学年や支援学級の児童への指導には便利ですが、「なりすまし」や「ネットいじめ」が発生する危険性があります。